Large Circuit大規模回路の小型化

大規模回路の小型化

大規模回路の小型化とは

画像処理回路など、大規模かつ小型な回路が求められるこの分野では、実装の高密度化、基板の高多層化が重要になります。

  • 大規模BGAを使用するための、高密度・高多層化技術
  • 小径VIA(IVH、SVH、BVH)による高密度高多層基板の製作技術

大規模回路の小型化

特徴

1. ビルドアップ基板とパッドオンビア基板(SVH)の違い

狭ピッチで大規模なBGAを使用した回路を基板にしたい時に、最初にビルドアップ基板を思い浮かべる方が多いようです。
しかし私たちは、ビルドアップ基板ではなくパッドオンビアを使用した貫通ビア基板(SVH)での製作をお勧めしています。

コスト的にもパッドオンビア基板の方がビルドアップ基板よりも有利ですし、10層基板や12層基板のような高多層基板でもどの層からでも同じ条件で、BGAの奥のPINからでも信号線の引き出しが可能なので小型化にも有利となります。

大規模回路の小型化とは

2. パットオンビア方式の高いコストメリット

パットオンビア方式は、穴あけ、めっき、積層が1回で完了するため、劇的に少ない工程でプリント基板を製作することができ、高いコストメリットが得られます。
ビルドアップ方式は、コアの部分を作成して、一段一段積み重ねて製作するため、穴あけ、めっき、積層を複数回行うことになりコスト高となりやすい傾向があります。
かつてはビルドアップ基板にも利点がありました。φ0.1のスルーホールをドリルで開けることが困難なため、レーザーで穴あけを行うビルドアップ方式が必要だったのです。

しかし、現在では穴あけの技術が進歩し、ドリルを使用してφ0.15のスルーホールを加工することが可能になりました。
さらに、エッチング精度も向上し、狭BGAの内層の信号ラインと穴壁間が0.1mmクリアランスで製造可能にもなりました。
したがって、ビルドアップ方式を採用する利点はほとんどなくなり、パットオンビアによる高多層化が主流になりつつあります。

狭ピッチBGAを使用した高多層基板ではビルドアップ基板を採用するメリットは感じられません。

大規模回路の小型化とは

当社と連携している基板工場では、0.5ピッチ 約500ピンのBGAの時に、

  • 部品面ランド /ドリル φ0.4/φ0.2
  • アスペクト比8
  • 内層穴壁間 0.3mm
  • 穴壁間L/S 80μm/110μm (穴壁間1本)

これにより、1.6tで12層基板(薄型高多層基板)の製作が可能です。
上の条件で12層での製作が可能であれば、差動伝送やシングル50Ωを多く使用しても、どの層でもGNDでの挟み込みが可能となり理想的なSL(ストリップライン)で配線することが可能となります。
このような事から、狭ピッチBGAを使用した高多層基板はパッドオンビア基板(SVH)で製作することをお勧めしています。

メリット

1. 低コストな製造方法で高密度設計ビルドアップとIVH基板

画像処理回路など、大規模かつ小型な回路が求められるこの分野では、実装の高密度化、基板の高多層化が重要になります。
弊社では、ビルドアップ工法を使わずに、IVHやSVHのみで16層基板や20層基板といった高多層基板を製作した実績があります。これはビルドアップ工法に比べてコスト的に安くできるのもメリットですが、製作するために必要な設備が、通常の多層基板とほぼ同じ設備で製作可能なため、製作できる基板工場も数多く存在し、リードタイムも短くできるのが大きなメリットと思います。

最近では、高多層基板もできるだけ薄くしたいという要求が多くなってきました。また、高速化により差動90Ω、100Ω、シングル50Ωといった特性インピーダンスを合わせなければならない回路も多くなってきました。そこで、たとえば8層基板の場合に、電気的特性のためにも有利なL1-L4の非貫通VIA、L5-L8の非貫通VIA、貫通VIAの3種類のVIAを組み合わせて使うことで、狭ピッチBGAを使用している回路も、ビルドアップ工法を使用することなく高密度化が可能です。

低コストな製造方法で高密度設計ビルドアップとIVH基板 低コストな製造方法で高密度設計ビルドアップとIVH基板

もちろん、このような製作を行うために、層構成やプリプレグ厚、樹脂穴埋めの際の使用可能なスルーホールの種類等の打合せを行い、連携している基板工場の中から、製作可能な基板工場を選択し、コミュニケーションを密に設計製作を行っています。

グランドをメッシュにすることで差動90、差動100、シングル50を考慮した最薄高多層製作が可能

  • 8層基板 0.8t
  • 16層基板 1.6t
  • 20層基板 2.5t

これによりお客様の製品をより小型、軽量化できます。
当社の最薄型多層基板技術は、高多層を従来にない薄さに仕上げます。
しかも、安価なFR-4素材で薄型化できるためコストを上昇させません。

2. なぜ薄型化が可能か

最初に考えなければならないのは「SIとPIのトレードオフの最適化」です。
(SI:シグナルインティグリティー、PI:パワーインティグリティー)
インピーダンスマッチングが考慮された状態では、層厚を厚くすると伝送線路幅は太くなり、薄くすると細くなります。

伝送線路幅が太いほど信号のロスが小さくなり、細いほど大きくなります。
よって層間を厚くして伝送線路幅を太くするとSIは向上しますが基板総厚は厚くなります。これは、PIにとってはマイナスの要因となります。

なぜ薄型化が可能か

基板の総厚が厚くなると何故PIのマイナス要因になるかというと、大規模BGA直下の裏面にパスコンを実装しても板厚分だけL成分が発生します。
高速デジタル回路は、このL成分に悪影響を受け、回路動作に支障を来たします。
よってPIを向上させるには、L成分の悪影響を受けないように、基板総厚は薄くした方が有利といえます。

なぜ薄型化が可能か

「SI重視で考えると板厚が厚い方が有利」で「PI重視考えると板厚は薄い方が有利」 となりこれがトレードオフとなっています。
当社ではこのトレードオフを下記方法を用いる事でSIとPIのバランスをとります。

  • SLの地導体(GND)をメッシュ状にする
  • 地導体がベタの時よりライン幅を太くできるため伝送ロスを小さくできる
  • 地導体がベタの時より基板総厚を薄くできるためL成分を小さくできる

これらのことは、基板製作を容易にするばかりでなく、リフロー槽内での基板の 熱吸収の面からも半田付け作業性を向上させます。

なぜ薄型化が可能か

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